ACS論文誌は、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)研究会および計算機アーキテクチャ(ARC)研究会が編集/財務責任研究会となり,システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)研究会およびプログラミング(PRO)研究会が編集責任研究会として協力する形で刊行した論文誌ハイパフォーマンスコンピューティングシステム(HPS)を発展させた論文誌です。 ACS論文誌を新たに発行するにあたっては,OS研究会が財務責任研究会に加わると同時に,同研究会の主導により組み込み技術や省電力技術などを対象技術分野として加え,高度な基盤システム技術を広範囲にカバーすることを目的とします。 またPRO研究会は編集責任研究会の一つとして従来と同様に論文誌編集に協力・貢献します。
上記4研究会(HPC,ARC,OS,PRO)は、研究会活動の一環として論文誌を発行することにより、時代に即した新しい価値を創造し、研究会の活動に資することを目的とし高性能計算に焦点を当てた研究会論文誌ハイパフォーマンスコンピューティングシステムを発行してきました。
ハイパフォーマンスコンピューティングとは、単なる計算の高速化という意味に留まらず、計算精度などの計算の質的な改善、あるいは、利便性の向上を目指した利用環境など計算システムの高度な技術要素を含むトータルシステムであり、他の研究分野との接点が多いです。
近年、組み込み技術、省電力技術等のシステム技術の重要性が増し、ARC研究会やOS研究会でも重要なテーマとしてこれら技術に取り組んできています。 高性能技術計算においても、大規模クラスタ実現における設置面積の省スペース化や低 消費電力化のための要素技術として、組み込み技術や省電力技術が注目されています。これらの技術を総称的に高度基盤システム技術としてとらえ,これを対象研究分野とする一つの継続的論文誌発刊により、様々な産業を支える基盤技術の発信源として、社会に貢献することが重要です。
このような観点にたち、ハイパフォーマンスコンピューティングシステム論文誌は新たにOS研究会を財務責任研究会に迎えて、高度基盤システム技術に関する研究会論文誌として生まれ変わり、名称をコンピューティングシステム論文誌とします。
ACS論文誌では、ハイパフォーマンスコンピューティング、組み込み技術、省電力技術等の高度基盤システム技術分野に焦点をあて、計算システムの高機能高性能化を進め、産業ならびに科学技術の発展に寄与することを狙いとします。
近年のコンピュータおよび情報処理技術の進歩により、コンピュータシステム は、いわゆる大規模科学技術計算や種々のビジネス応用の高速化を通じて、様々 な産業を支える基盤技術として重要性を増しています。「情報処理学会論文誌: ハイパフォーマンスコンピューティングシステム」は、ハードウエア、アーキ テクチャからソフトウエア、応用までを含む、高性能なコンピューティングの ための要素技術およびシステム技術に関する論文を専門に扱う論文誌です。 主なテーマは以下の通りです。
(1) 高速・高性能計算のための計算機システムアーキテクチャ技術
(2) 高速・高性能計算のためのソフトウエア技術
(3) 高速・高性能計算システムの性能評価
(4) 数値計算と計算機シミュレーションの基礎理論と実際
(5) ハイパフォーマンスコンピューティングの応用
ハイパフォーマンスコンピューティングとは、単なる計算の高速化という意味 に留まりません。計算精度などの計算の質的な改善、あるいは、利便性の向上 を目指した利用環境など計算システムの高度な技術要素も含みます。また、計 算機システムの高性能化により発展しつつある、計算化学、計算流体力学、計 算物理学、計算経済学、計算生物学等のいわゆる計算科学も対象とします。ハ イパフォーマンスコンピューティング技術の研究は、これらの応用分野とのイ ンタラクションは欠くことができません。本論文誌を発刊することによって、 これまで従来の基幹論文誌ではこれまでカバーしにくかった他分野からの先進 的な応用に関する論文を対象することができるようになります。
さらに本論文誌の対象が産業を支える基盤技術であることに鑑み、産業界を 中心とした実用的な研究・開発の成果発表の場を提供することも重要な役割で す。高性能計算システムやその要素技術の実用化、応用事例や性能評価など実 際的な利用技術といった、これまで基幹論文誌をはじめとする研究発表媒体が 必ずしもカバーできなかった成果の発表を積極的に支援します。研究論文の査 読基準における実用性の重視、資料的価値や速報性が高い報告のテクニカルレ ポートとしての積極的採用などにより、実用的な成果発表の促進します。
なお、本論文誌は編集委員会を構成する上記4研究会の登録会員の方に配付 されますので、興味をお持ちの方に最新の研究論文をまとまった形でお届けで きることになります。
2、編集方針
(1) 論文の形態は、研究論文とサーベイ論文、テクニカルレポートとします。 研究論文は研究的価値が高い内容を対象とし、テクニカルレポートは、ベンチ マーク評価結果など、読者に有用な資料的な価値の高い内容も対象とします。 区分は基本的に著者が指定しますが、編集時に著者の指定と異なる区分に 変更することもあります。
(2) 従来の研究報告は継続します。研究会において発表された論文の中で、優 れた論文に関しては研究会論文誌に投稿を薦め、査読時に研究会での発表内容 を考慮し、査読を行います。この推薦に関しては、研究会開催時に開催する HPS論文誌編集委員会で検討を行います。
(3) 論文の記述言語は、日本語または英語とし、原則として学会指定の論文誌 スタイル(当面はLatexに統一)に準拠することにします。いずれの言語の場 合も、要旨は日英両方必要でです。論文の分量については、特に制限は設けま せん。
(4) HPS論文誌編集委員会は基幹論文誌の論文誌編集委員会との連絡を密 にし、研究会論文誌の編集方針の審議・承認のもとに活動するものとします。 また、査読基準や査読プロセスの詳細は、研究会や研究会ホームページ等を通 じて公開し、必要があれば適宜修正します。
3、査読基準
査読基準は、基幹論文誌編集委員会の「論文査読の手引き」(1998年5月改 定版)に大筋において従ったものとします。本論文誌の特徴としては、以下の 視点を重視します。
(1) 急激な技術の変革に適応し、時宜を得た情報を提供するために、独創 的な提案やアイデアは、その実用的価値を評価し、積極的に採用します。
(2) システム、要素技術、利用技術などの実用的研究・開発の成果は、論 文としての客観的な主張を含むものであれば、実用性を重視して積極的に採用 します。
(3) 著者独自の視点から整理・分類・評価し、技術を展望するオリジナル なサーベイ論文は、技術的価値の高いものとし、本論文誌では、優れたサー ベイ論文は積極的に採用します。
(4) 実システムのベンチマークデータなどは、資料的価値が高いものであ り、研究を進める上での有用な情報になります。このような内容に関し ては、テクニカルレポートとして、速報性を重視して査読の迅速化を図ります。
(5) 応用システムでの実際、事例については計算機分野の研究者とハイパ フォーマンスコンピューティングシステムのユーザを結びつける重要な情報で あり、情報処理以外の他分野のユーザにも投稿を呼びかけ、積極的に採録しま す。
4、投稿手続き
(1) 論文募集は、原則として年2回行う予定です。投稿は原則として随時受け 付けますが、論文募集は、HPC研究会、ARC研究会、OS研究会、PRO研究会、お よび研究会が主催するシンポジウム開催と同期して行い、発刊時期と投稿〆切 を明示します。第1号は、平成12年1月中に受付、6月に発行の予定です。第 2号は11月に発行の予定です。
(2) 論文投稿は、HPS編集委員会まで(現在、準備中)まで、投稿論文をお送り ください。当面は、latexによる学会指定の論文誌フォーマットに限定します。 E-mailによる電子投稿を推奨します。
(3) 査読のプロセスは、原則として期間論文誌と同様です。「条件付き採録」 となった論文については、1ヶ月以内に再投稿できます。テクニカルレポート に関しては、「採録」、「不採録」の2種類にし、速報性を重視します。
(3) 論文は、その種類を問わず査読を経て「採録」となったものを掲載します。 採録決定後、本論文誌の指定する締切日までに、投稿者がLatexファイル形式 の原稿を用意し、これを学会に送付します。著者は、一回のみの校正を行うこと ができます。
5、情報処理学会論文誌ハイパフォーマンスコンピューティングシステム編集 委員会構成
(略,上記「HPS論文誌第1期委員会」参照)